38(t)戦車 B型
Pz.Kpfw.38(t) Ausf.B
第7装甲師団 第25戦車連隊所属車
Pz.Rgt.25 of the 7.Pz.Div.

 完成  Finish of paint

 1940年5月のフランス戦(黄色作戦)における第7装甲師団 第25戦車連隊所属車両を再現してみました。

▼塗装設定はドゥンケルグラウとドゥンケルブラウンの2色迷彩とし、塗料は例によってクレオスの大洗グレー(XGP-01)を基本色とし、AKインタラクティブのリアルカラーRC56を雲状に吹き付けました。

▼履帯はフランス戦では初期型履帯を用いており、キットの標準型(軽量型)履帯はこの時期では使用されてなかったので、Master Clubのメタル製履帯に換えていますが、初期型履帯の特徴である繊細なモールドに驚かされます。なお、錆表現は塗装ではなく、黒染液による酸化作用によるものですが、自然な質感が気に入っています。

▲フェンダー先端両側の丸い反射板(リフレクタ)はキットのパーツでは小さいので自作パーツ(エッチングパーツの余り)に換え、PANZER TRCTSでは赤色と解説されていますが、記録写真では白く見えるので、クレオスの灰色9号(97)で塗りました。
 なお、この反射板は戦闘時には目立つので、取り外した車両が多く確認でき、G型からは完全に廃止されています。
 
 国籍マーク(国籍章)は、1940年の西方戦役からバルケンクロイツ(Balkenkreuz)が採用され、ポーランド戦の戦訓により目立つ前面への記入は廃止されて車体側面と後面に記入されることになりました。
 第7装甲師団では白フチのみのものと中心に黒の中帯が入ったもの、黒の中帯が入ったものの外側に細い黒フチが付けられているものの3種類が確認できます。

▼この213号では細い黒フチが付けられていると記録写真で確認できるので、キットのデカール①が使用できず、STAR DECALSの「Pzkpfw 38(t) Op. Barbarossa and Early war years」(35-C1249)のC2を使用し、側面は雑具箱に、後面は砲塔に貼りました。

▲車両番号は、第7装甲師団では原則として砲塔側面に大きく「白フチの赤」で書き込まれているので、トライスターのB型キット(35026)の付属デカールをそのまま使用しました。

 この番号は原則として3桁で、百の位は中隊、十の位は小隊を、そして一の位は小隊内番号を表しており、この213号車は第2中隊 第1小隊の3号車を示している訳です。これが1941年6月のバルバロッサ作戦時では第66戦車大隊が第Ⅲ大隊に編入されたことから、中隊は第1中隊から第12中隊までとなり、第10中隊からは砲塔番号は4桁になりました。(38(t)戦車で4桁の砲塔番号は第7装甲師団のみのはず)
 なお、第12中隊はⅡ号戦車とⅣ号戦車の混成部隊のため、38(t)戦車は未配備であり、中隊によって数字の書体が微妙に異なるなど砲塔番号は奥が深いので、初心者が安易にデカールを切り貼りして独自の番号を貼ることはお薦めできません。
 また、213号車では車両番号が描かれた平行四辺形の板が3箇所に設置されていますが、例によって作例ではこの板は取り付けていません。

 師団マーク(師団章)は、1940年の西方戦役の参加師団に対して部隊の識別用にの記入が陸軍から指示されるとともに、装甲師団には黄色、歩兵師団は白色、山岳師団は緑色が割り当てられ、戦車には原則として車体前後左右の四箇所に記入していました。 

▼第7装甲師団のマークはフランス戦では「逆Y字」に「三つの点」が指定されており、キット付属デカール⑧を使用して、説明書のとおり無線手クラッペの上と砲塔後部に貼りました。 

▲車体側面の雑具箱などに師団マークを描いている車体が確認できますが、この213号車では確認できなかったので、デカールを貼り付けていません。
 また、1941年以降から「Y字」に変更されているので、バルバロッサ戦時を再現する場合は別のマークを用意する必要があります。

▼第7装甲師団の戦車は味方航空機からの識別用に機関室上面に白帯が描かれているので、クレオスの灰色9号(97)をマスキングして吹き付けています。なお、機関室上部のジェリカンの受け皿も白く塗っている車体も確認できますが、作例では車体色としています。(木製の受け皿が未塗装の車体も確認できます。)

▲砲塔後部の両端のリベットを外寄りに移したことで、砲塔側面板の薄さが表現できました。
 また、第7装甲師団の38(t)戦車はバルケンクロイツと師団マークが砲塔後部に描かれていました。(例外あり)
▼機関室上部の排気口の金網はキットのパーツは使用せず、編み目がより目の細かいアベールのエッチングパーツに換えたことで、実感が増したと自負しています。

▼実車の213号車では初期型尾灯を後部両端に配置していることが確認できますが、A型の作例との差別化を図るため、B型では左側のみを自作して取り付け、電気コードを配線しました。

▲キットには牽引ケーブルが付属していないので、作例ではユウリカXXLの「Hetzer & MarderⅢ用ケーブル」(ER-3535)を利用して牽引フックに巻き付けてみました。(実車の213号車では牽引ケーブルはマフラーの上に取り付けられていることが確認できます。)

▼1940年3月からノテックライトとともに車体後部に車間表示灯が取り付けられています。本来は車体左側への設置が指示されているのですが、チェコ製の38(t)戦車は操縦席が右側に配置されており、配備数が多いので右側に設置されました。しかし、1941年のバルバロッサ作戦時頃からは本来の左側に設置される車両も見られるようになりました。

▲車間表示灯と尾灯の電気コードはまとめて機関室に引き込まれているので、銅線で再現しています。

▼ジャッキは本来、穴が空いている履帯防滑具(グローサー)収納箱の上に装着されていますが、第7装甲師団所属車両では機関室横のフェンダーに単独に装着されています。

▲ドイツ製取付金具ではジャッキの取付向きが違うと装着できませんが、革ベルトによる取り付けなので、前後逆だったり、立てていたりと様々な取り付け例が確認できます。

▼2つの転輪の間から見えるリーフスプリング(板バネ)を中央で束ねる保持具にはB型以降ではスリットが設けられており、写真のように結構目立つので、ドラゴンのパーツを利用して改造しました。しかし、このスリットに泥や雪が詰まって走行に支障が生じることから、現地において鉄板を溶接留めして塞いだりしていましたが、F型生産途中からスリット無しのものに変わったようです。

▲誘導輪の軽め穴はキットのパーツではダルマ形になっているので、タマゴ形に修正しています。

▼ノテックライトは電気コードがキットでは省略されているので銅線で再現し、警笛も少し手を加えてみました。

▼第7装甲師団所属の38(t)戦車を撮影した写真は他の師団と比較して多く残っており、ロンメル将軍が指揮した部隊でもあるので、あなたもぜひ作られてはいかがでしょうか。(2020年5月完成、同年10月改修)


第7装甲師団 第25戦車連隊

 デカールを切り貼りして別の番号にして他の作品とは差別化を図りたいと思うモデラーは多いと思いますが、誤った番号にならないようにするには部隊編成を理解する必要があり、ハードルが高いので、参考になればと思い、第7装甲師団を例にして簡単にまとめてみました。
 なお、考証に当たっては、きたむら ひろし氏の「パンツァー・ブラット(ドイツ装甲車両の塗装とマーキング)第15回と第16回」(アーマーモデリング誌1999年8月号と9月号)などを参考にしました。

■1940年5月 フランス戦
1.当初配備戦車数
 Ⅲ号戦車の開発の遅れから次のとおり軽戦車で構成
 Ⅰ号戦車34両、Ⅱ号戦車68両、38(t)戦車91両、
 Ⅳ号戦車24両、38(t)指揮戦車8両
 ※上記の他に同師団の第83通信大隊装甲無線中隊にⅢ号指揮戦車(E型)7両が配備(砲塔番号B01,B02)
2.編 成
・各配備数は定数であり、本来はⅢ号戦車の配備の予定でしたが、開発の遅れから38(t)戦車やⅠ号戦車が充てられました。

 そのため、実際の配備数とは異なり、下記編成の中で38(t)戦車と書いていますが、Ⅰ号戦車やⅡ号戦車が含まれている部隊があります。
・第Ⅰ大隊と第66戦車大隊の第1~3中隊はどちらか区別ができないため、第Ⅰ大隊にまとめています。
・カッコ内の番号は手持ち資料で確認できた38(t)戦車の砲塔番号です。
●連隊本部
 ・本部通信小隊 38(t)戦車×1, 38(t)指揮戦車×2 (R01,R02)
 ・軽戦車小隊  38(t)戦車×5
●第Ⅰ大隊
○本部中隊

 ・通信小隊   38(t)戦車×1, 38(t)指揮戦車×2
 ・軽戦車小隊  Ⅱ号戦車×5
○第1中隊  
 ・本部      38(t)戦車×2 (101)  
 ・第1小隊     38(t)戦車×5 (112,113,114,115)  
 ・第2小隊       38(t)戦車×5 (121,123,124,125)  
 ・第3小隊       38(t)戦車×5 (132,134)  
 ・第4小隊       38(t)戦車×5
○第2中隊
 ・本部     38(t)戦車×2  
 ・第1小隊    38(t)戦車×5 (211,212,213,214,215)
 ・第2小隊      38(t)戦車×5 (221,222,225)  
 ・第3小隊      38(t)戦車×5
 ・第4小隊      38(t)戦車×5
○第3中隊
 ・本部     Ⅱ号戦車×1,Ⅳ号戦車(D型?)×1
 ・第1小隊    Ⅱ号戦車×5
 ・第2小隊      Ⅳ号戦車×4
 ・第3小隊      Ⅳ号戦車×3
○第4中隊(欠番)
○大隊予備戦車 38(t)戦車×3,Ⅱ号戦車×2,Ⅳ号戦車×1
●第Ⅱ大隊
○本部中隊
 ・通信小隊   38(t)戦車×1, 38(t)指揮戦車×2(Ⅱ02)
 ・軽戦車小隊    Ⅱ号戦車×5
○第5中隊
 ・本部          38(t)戦車×2  
   ・第1小隊       38(t)戦車×5 (512,514,515)  
 ・第2小隊     38(t)戦車×5 (521,524)  
 ・第3小隊     38(t)戦車×5 (532)
 ・第4小隊     38(t)戦車×5
○第6中隊
 ・本部        38(t)戦車×2 (601,602)
 ・第1小隊     38(t)戦車×5 (611,612,613)
 ・第2小隊     38(t)戦車×5 (621,622,625)
 ・第3小隊     38(t)戦車×5
 ・第4小隊     38(t)戦車×5
○第7中隊
 ・本部        Ⅱ号戦車×1, Ⅳ号戦車×1
 ・第1小隊     Ⅱ号戦車×5
 ・第2小隊     Ⅳ号戦車×4
 ・第3小隊     Ⅳ号戦車×3
○第8中隊(欠番) ※(841の例外あり)
○大隊予備戦車 38(t)戦車×3,Ⅱ号戦車×2,Ⅳ号戦車×1
●第66戦車大隊
○本部中隊
 ・通信小隊   38(t)戦車×1, 38(t)指揮戦車×2
 ・軽戦車小隊 Ⅱ号戦車×5
○第1中隊
 ・本部     38(t)戦車×2
 ・第1小隊    38(t)戦車×5
 ・第2小隊      38(t)戦車×5
 ・第3小隊    38(t)戦車×5
 ・第4小隊    38(t)戦車×5
○第2中隊
 ・本部       38(t)戦車×2
 ・第1小隊    38(t)戦車×5
 ・第2小隊    38(t)戦車×5
 ・第3小隊    38(t)戦車×5
 ・第4小隊    38(t)戦車×5
○第3中隊
 ・本部     Ⅱ号戦車×1,Ⅳ号戦車×1
 ・第1小隊    Ⅱ号戦車×5
 ・第2小隊    Ⅳ号戦車×4
 ・第3小隊    Ⅳ号戦車×3
○大隊予備戦車 38(t)戦車×3, Ⅱ号戦車×2, Ⅳ号戦車×1 

■1941年6月 バルバロッサ作戦時
1.当初配備戦車数
 Ⅱ号戦車53両、38(t)戦車166両(167両?)、Ⅳ号戦車30両、
 38(t)指揮戦車7両、指揮戦車8両
 ※上記の他に第83通信大隊第2装甲無線中隊にⅢ号指揮戦車3両
 ※他にⅠ号戦車17両のデータあり
2.編 成
●連隊本部
 ・本部通信小隊  38(t)戦車×1,Ⅲ号指揮戦車×2
 ・軽戦車小隊   Ⅱ号戦車×5
●第Ⅰ大隊
○本部中隊
 ・通信小隊     38(t)戦車×1(Ⅰ02), 38(t)指揮戦車×2
 ・軽戦車小隊   Ⅱ号戦車×5
○第1中隊
 ・本部     38(t)戦車×2,Ⅱ号戦車×5  
   ・第1小隊    38(t)戦車×5 (112,114)
 ・第2小隊      38(t)戦車×5 (123)
 ・第3小隊      38(t)戦車×5 (131,132)
○第2中隊
 ・本部         38(t)戦車×2
 ・第1小隊      38(t)戦車×5 (213,214)
 ・第2小隊      38(t)戦車×5 (223,224)
 ・第3小隊      38(t)戦車×5
○第3中隊
 ・本部         38(t)戦車×2
 ・第1小隊      38(t)戦車×5
 ・第2小隊      38(t)戦車×5 (323,324)
 ・第3小隊      38(t)戦車×5 (333)
○第4中隊
 ・本部       Ⅱ号戦車×5, Ⅳ号戦車×2
 ・第1小隊      Ⅳ号戦車×4
 ・第2小隊      Ⅳ号戦車×4
○大隊予備戦車  38(t)戦車×3,Ⅱ号戦車×2,Ⅳ号戦車×1
●第Ⅱ大隊
○本部中隊
 ・通信小隊     38(t)戦車×1(Ⅱ01), 38(t)指揮戦車×2
 ・軽戦車小隊   Ⅱ号戦車×5
○第5中隊
 ・本部       38(t)戦車×2
 ・第1小隊      38(t)戦車×5 (514)
 ・第2小隊      38(t)戦車×5
 ・第3小隊      38(t)戦車×5 (535)
○第6中隊
 ・本部       38(t)戦車×2
 ・第1小隊      38(t)戦車×5 (611,612)
 ・第2小隊      38(t)戦車×5 (621,622)  
 ・第3小隊      38(t)戦車×5 (634)
○第7中隊
 ・本部         38(t)戦車×2 (701)
 ・第1小隊      38(t)戦車×5
 ・第2小隊      38(t)戦車×5
 ・第3小隊      38(t)戦車×5
○第8中隊
 ・本部     Ⅱ号戦車×5, Ⅳ号戦車×2
 ・第1小隊    Ⅳ号戦車×4
 ・第2小隊      Ⅳ号戦車×4
○大隊予備戦車 38(t)戦車×3,Ⅱ号戦車×2,Ⅳ号戦車×1
●第Ⅲ大隊(第66戦車大隊から編入)
○本部中隊
 ・通信小隊  38(t)戦車×1, 38(t)指揮戦車×2
 ・軽戦車小隊 Ⅱ号戦車×5
○第9中隊
 ・本部     38(t)戦車×2
 ・第1小隊    38(t)戦車×5
 ・第2小隊    38(t)戦車×5 (921)
 ・第3小隊    38(t)戦車×5
○第10中隊
 ・本部     38(t)戦車×2 (1003)
 ・第1小隊    38(t)戦車×5 (1012,1013)
 ・第2小隊    38(t)戦車×5 (1023,1024,1025)
 ・第3小隊    38(t)戦車×5 (1031,1032,1033)
○第11中隊
 ・本部     38(t)戦車×2
 ・第1小隊    38(t)戦車×5 (1111,1113)
 ・第2小隊    38(t)戦車×5 (1122)
 ・第3小隊    38(t)戦車×5
○第12中隊
 ・本部     Ⅱ号戦車×5, Ⅳ号戦車×2
 ・第1小隊    Ⅳ号戦車×4
 ・第2小隊    Ⅳ号戦車×4
○大隊予備戦車 38(t)戦車×3,Ⅱ号戦車×2,Ⅳ号戦車×1 



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