タミヤの38(t)戦車を考証に基づき作ってみた(完成)

38(t)戦車F型 
Pz.Kpfw. 38(t) Ausf.F
第19装甲師団 第27戦車連隊 1941年 ロシア
Pz.Rgt.27 of the 19.Pz.Div. , Russia 1941 

完成  Finish of paint
 F型の作品では1941年6月のバルバロッサ作戦時における第19装甲師団の第27戦車連隊(第Ⅱ大隊第5中隊第2小隊)の車両を再現してみました。

▼この時期の塗装はドゥンケルグラウ(Dunkelgrau,RAL 7021)単色なので、塗料はタミヤのラッカー塗料「ジャーマングレー」(LP-27)を基本色にし、呉海軍工廠グレイ(LP-12)をハイライトとして吹き付けました。

▲私の作品はミュージアム・モデルを目指しているので、超絶技巧な塗装はせず、汚しもかなり控えめです。

▼履帯はタミヤのラッカー塗料「ダークアイアン」(LP-54)を吹き付けて乾かした後、タミヤのアクリル塗料の「バフ」(XF-57)と「フラットアース」(XF-52)で塗り、半乾きの状態で無水エタノールでアルコール落としで仕上げてみました。

▲第5中隊では車台前部に増加装甲を兼ねた予備履帯を装着しているので、モデルカステンの履帯を取り付けました。

▼キットの履帯は、上部の自然なたるみが誰でも簡単に表現できます。
なお、実車ではリーフスプリング(板バネ)を中央で束ねる保持具にスリットが設けられている例が確認できるので、プラ板で自作しました。

▲雑具箱に描かれている師団マークは正しい形状のSATR DECALSの「Pz.Kpfw.38(t) Op.Barbarossa and Early war years」(35-C-1249)のデカール(D3)に変更し、その位置はバルケンクロイツより離して前寄りに貼りました。

▼アンテナ基部はキットのままではあっさりしているので、ドラゴンのパーツを利用してディテールアップしてみました。

▲第5中隊では車体前部上面にも増加装甲を兼ねた予備履帯を装着しているのでモデルカステンの履帯を取り付けました。

▼キットでは車体後部の工具類(ハンマー、ショベル、ツルハシ)のパーツが省略されていたので、ドラゴンのパーツを流用しました。


▼キットの車長用ハッチにある手すりモールドは不要なので、削り取りました。


▼砲塔後部の砲塔番号と師団マークが省略されているので、カスタマーサービスを利用してデカールを取り寄せて貼りました。


▼キットのマフラーは長いので短くして、中央上部にワイヤー用ガイドパイプを取り付け、履帯調度調整装置などの保護カバーがキットには無かったのでドラゴンのキットから流用し、牽引ピントルフックはプラ板から自作しました。

▲牽引ケーブルが省略されているので、ユウリカXXLの「Hetzer & MarderⅢ」(ER-3535)を利用し、後部牽引フックに巻き付けました。

▼警笛はデイテールアップし、バックミラーは522号車では右フェンダー前部に取り付けられているので、左側から移設しました。

▲予備履帯とワイヤーカッター、斧のパーツが省略されているので、他キットから流用しました。

▼記録写真に残る特定車両を作ることは、私にとって初めての試みでした。

▲展示会やコンテストにこの作品を出品したとしても、このキットを作っていない人や予備知識がない人から見れば、地味な素組み作品として絶対にスルーされる自信があります。(笑) (2021年2月完成)

【付 録】
 製作した戦車の戦歴などを調べることもスケールモデルの楽しみです。
 タミヤのキットには実車解説が添付されていますが、さらに詳しく知りたい人のために、まとめてみました。

■第19装甲師団 第27戦車連隊について
 師団の主軸となる第27戦車連隊は1940年10月にパーダーボルンにて新設され、第Ⅰ大隊から第Ⅲ大隊までの3個大隊で編成されました。

■当初配備数(1941年6月バルバロッサ作戦時)
 Ⅰ号戦車53両、Ⅱ号戦車35両、38(t)戦車110両、
 Ⅳ号戦車30両、38(t)指揮戦車11両

■戦 歴
 1941年6月のバルバロッサ作戦(ロシア侵攻)においては中央軍集団第3装甲集団第57装甲軍団に所属して第12装甲師団などと共に、ベラルーシの首都であるミンスクを占領後、ソ連のスモレンスクに進撃しました。
 しかし、最初の2ヶ月の戦闘で多大な損害が出たことから、8月10日に第Ⅲ大隊を解隊して、2個大隊に改編しました。
※1941年8月25日時点における戦力

合計 稼働数 修理中 損失数
 Ⅰ号戦車 53両 6両 0両 47両
 Ⅱ号戦車 35両 20両 4両 11両
 38(t)戦車 110両 57両 32両 21両
 Ⅳ号戦車 30両 9両 11両 10両
 38(t)指揮戦車 11両 10両 0両 1両
 9月30日からはタイフーン作戦に参加してモスクワを目指しましたが、10月4日に38(t)戦車16両が補充されたものの、12月20日時点では38(t)戦車の作戦可能車体(稼働数)が10両まで落ち込み、翌年3月末には第Ⅰ大隊も解隊され、第Ⅱ大隊が第Ⅰ大隊になりました。

■砲塔番号の考察
 デカールを切り貼りして別の番号にして他の作品とは差別化を図りたいと思うモデラーは多いと思いますが、誤った番号にならないようにするには砲塔番号の基礎と部隊編成を理解する必要があるので、簡単にまとめてみました。

■第27戦車連隊における砲塔番号の基礎知識
 3桁の番号のうち、百の位は中隊など、十の位は小隊を、そして一の位は小隊内番号を表しています。(改編や予備車両などによる例外あり)
○百の位の数字
・38(t)戦車が配備されている中隊は、第1,2,4,5,7,8中隊なので、中隊番号はこれ以外の数字はありません。
・大隊の本部中隊の車両は大隊番号がローマ数字で表記されます。(Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ)
・連隊本部の車両は数字ではなく、連隊(Regiment)の頭文字である「R」が用いられます。(R01など)
○十の位の数字
・小隊は第4小隊までなので、5以上の数字はありません。
・連隊本部、大隊本部、中隊本部の車両は0となります。
○一の位の数字
・小隊の配備数(5両)より多い数字は原則ありません。
●砲塔番号の字体などは中隊ごとに異なります。

■第27戦車連隊の編成(1941年6月バルバロッサ作戦時)
【注意事項】
・各配備数の数字は定数です。
 本来はⅢ号戦車が配備される予定でしたが、開発の遅れから38(t)戦車やⅠ号戦車が充てられました。
 そのため、実際の配備数とは異なり、38(t)戦車の他にⅠ号戦車やⅡ号戦車が含まれている部隊があります。
・第Ⅲ大隊は1941年8月10日に解隊し、第7~9中隊の残存車両は第1~6中隊に割り当てられ、砲塔番号が修正されていたようです。
・カッコ内の番号は手持ち資料で確認できた38(t)戦車の砲塔番号です。
※ 推測が含まれており完璧なものではないので誤りがありましたら、ご指摘ください。

●連隊本部
   ・通信小隊  38(t)指揮戦車 3両 (R01)
   ・軽戦車小隊 Ⅱ号戦車 5両

●第Ⅰ大隊
○本部中隊
 ・通信小隊  38(t)指揮戦車  3両
 ・軽戦車小隊  Ⅱ号戦車      5両
○第1中隊
 ・本部        38(t)戦車 4両
        Ⅱ号戦車  2両    
 ・第1小隊 38(t)戦車 5両 (111,112,114)  
 ・第2小隊 38(t)戦車 5両 (125)
 ・第3小隊 38(t)戦車 5両 (131,132,133)
 ・第4小隊 38(t)戦車 5両 (145)
○第2中隊
 ・本部   38(t)戦車 4両 (201)
       Ⅱ号戦車   2両  
 ・第1小隊 38(t)戦車 5両 (211.212,213.214)
 ・第2小隊 38(t)戦車 5両 (225)
 ・第3小隊 38(t)戦車 5両
 ・第4小隊 38(t)戦車 5両 (243)
○第3中隊
 Ⅱ号・Ⅳ号戦車で編成
○大隊予備戦車

●第Ⅱ大隊
○本部中隊
 ・通信小隊  38(t)指揮戦車  3両 (Ⅱ01)
 ・軽戦車小隊   Ⅱ号戦車   5両
○第4中隊
 ・本部        38(t)戦車   4両 (401)
             Ⅱ号戦車   2両
 ・第1小隊 38(t)戦車 5両 (411,412,413,414)  
   ・第2小隊 38(t)戦車 5両 (422,423,424,425)
 ・第3小隊 38(t)戦車 5両 (431,433,434,435)
 ・第4小隊 38(t)戦車   5両 (441)
○第5中隊
 ・本部    38(t)戦車   4両 (501,502)
        Ⅱ号戦車    2両
 ・第1小隊 38(t)戦車 5両 (511,512)
 ・第2小隊 38(t)戦車 5両 (521,522,523,524,525)
 ・第3小隊 38(t)戦車 5両 (531,532,533,534,535)
 ・第4小隊 38(t)戦車   5両 (543)
○第6中隊
 Ⅱ号とⅣ号戦車で編成
○大隊予備戦車

●第Ⅲ大隊
○本部中隊
 ・通信小隊  38(t)指揮戦車 3両
 ・軽戦車小隊  Ⅱ号戦車         5両
○第7中隊
 ・本部        38(t)戦車   4両
            Ⅱ号戦車    2両
 ・第1小隊 38(t)戦車 5両
 ・第2小隊 38(t)戦車 5両 (721)
 ・第3小隊 38(t)戦車 5両
 ・第4小隊 38(t)戦車   5両
○第8中隊
 ・本部        38(t)戦車   4両
            Ⅱ号戦車    2両
 ・第1小隊 38(t)戦車 5両
 ・第2小隊 38(t)戦車 5両
 ・第3小隊 38(t)戦車 5両 (832)
 ・第4小隊 38(t)戦車   5両
○第9中隊
 Ⅱ号とⅣ号戦車で編成
○大隊予備戦車


 
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