タミヤの38(t)戦車を考証に基づき作ってみた(その3)

38(t)戦車F型 
Pz.Kpfw. 38(t) Ausf.F

製作(3)  Model making(3) 

■車体 Hull

●車台前面装甲板 Armor hull front
 キットのパーツ(C23)には補助装甲を兼ねた予備履帯ラックのモールドが再現されています。

 実車での予備履帯ラックの採用はG型の1941年11月生産分(車台番号1220)からであり、その予備履帯ラックの部品を各部隊へ配付する許可が出たのが1942年1月、部隊配備されていたA~F型に装着されるようになったのは、それ以降になります。
 つまり、1942年1月以降のE/F型に予備履帯ラックがあっても誤りではないのですが、作例の設定である1941年6月のバルバロッサ作戦時となると考証的に問題があります。
 この事実が判ったのは、2007年に出版された「PANZER TRACTS No.18」で、それまではBMM社(CKD社)が撮影した記録写真から「F型には予備履帯ラックが装備されている」と長い間、思われてきたのです。
 キットでは「PANZER TRACTS」の出版前に発売されたトライスターのキット(35020)は例外として、出版後の2011年に発売されたやトランペッター(01577)とイタレリ(6489)のキットにもタミヤのキット同様に予備履帯ラックのモールドがありました。
 しかし、2010年に発売されたドラゴンのE/F型キット(6434)のパーツ(S2)では、唯一そのモールドがありません。(ただし、G型キット(6290)にはモールドがあり、S型(6435)ではモールドがなく、E/F型とは別パーツ(R2)になっています。)
▼参考までにクビンカの車両(F型)で確認します。

  確かに予備履帯ラックはなく、取り外した形跡も見当たりません。なお、牽引フックはソ連軍が後から取り付けたものなので、オリジナルとは異なり注意が必要です。
▼次に522号車の写真を確認します。

▼上の矢印部分を拡大すると・・・
予備履帯を取り付けていますが、注意してみると履帯のガイドホーンを車体側に向けて取り付けています。

▼もう一枚の写真で確認します。

▼矢印部分のアップです。

 やはりガイドホーンが内側に向けられており、正規の予備履帯ラックではこのような装着方法はありえません。
 また、522号車は1941年12月には写真のように被弾のうえ遺棄されているので、正規の予備履帯ラックが取り付けられたことは考えられません。
 この前部装甲板のパーツ(C23)はタミヤのマーダーⅢ(35248)のパーツ(B14)の設計データをそのまま使ったと思われますが、新たに金型を起こしているので、残念でなりません。※G型キットへの伏線だと好意的に受け止めました。(笑)
▼作例では、ボルトをていねいに切り取った後、ラックのモールドを削り取り、タボ穴をプラ棒で塞いでから平らに成形し、先に切り取ったボルトを元の位置に接着しました。(記録写真と同様に予備履帯を取り付けるのであれば、ほとんど見えなくなるので、この工程は省略しても構いません。)

 なお、組立説明書どおり素組みで予備履帯を取り付ける場合は注意が必要です。
▼説明書7ページの説明手順⑬ではパーツ(A18)を取り付けるように図示していますが、パーツ(J3)を取り付けるのが正解だと思います。

▼A18は古いマーダーⅢのキットからの流用パーツで、ガイドホーンに軽量化の凹みがありません。

▼説明書1ページの「使わない部品」にJ3が書かれていますが、なぜ旧パーツの使用を勧め、出来の良い新パーツを不要とするのか理解に苦しみます。

せっかくなので、凹みがあるJ3を使いましょう。※既に組立説明書が訂正されているかもしれません。 

●車体側面  Superstructure Side
▼車体左側面板のパーツ(C3)に気になるモールドが2箇所(①②)あり、他社のキットには見られません。

▼これは何でしょうか?クビンカの車両で確認します。

 キットのパーツと同じものが取り付けられています。
▼これは牽引ケーブルを車体側面に装着するための金具で、この車両では失われていますが、次の記録写真で確認するとこの金具にはケーブルを装着するための革ベルトが付けられていました。

 さらにクビンカの車両では①の金具は下の部分が破損し、失われています。
 この金具がキットでは破損状態のまま忠実にモールドされていたのです。これがタミヤが取材対象車両と判断した根拠の1つです。(この金具が残されている車両は多分この車両のみでしょう。) ※タミヤが「車外装備品の標準仕様キット」を将来販売する伏線だと好意的に受け止めました。
▼この金具は第19装甲師団の車両では別の場所に移設して再使用(後述)しており、この金具は無いはずなので、作例では削り取りました。(この位置に雑具箱を取り付けるので気にならない人はこの工程は不要です。)

  なお、車外装備品の取付位置を標準仕様とされる場合はこのモールドは残して活用された方がよいでしょう。

●車体上面 Superstructure Roof
▼牽引ケーブル装着金具は上面板のボルトを利用して車体に取り付けられており、この金具のモールド(①②)も上面板パーツ(B9)にあります。

 さらにツルハシの刃先を保持する金具のモールド(③)も不要なので、一度ボルトを切り取り、金具のモールドを削り取ってからボルトを元の位置に接着しました。

 なお、機関室点検ハッチのヒンジは作例ではアベールのエッチングパーツに置き換えるので、削り取りました。

●機関室上面 Engine Deck
 機関室後部の上面パーツ(B20)には部品を取り付けるために四角の穴が開口されています。

 その取付位置が実車とは異なるので、プラ板で埋めました。(続く)

 
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