タミヤの38(t)戦車を考証に基づき作ってみた(その4)

38(t)戦車F型 
Pz.Kpfw. 38(t) Ausf.F

製作(4)  Model making(4) 

■フェンダー Track guards

 実車では2ミリ厚の鋼板製で、変形防止のために4本のリブ(ビート)がプレスされています。
 キットのフェンダーパーツを見ると赤矢印部分にはリブがなく、他社のパーツにはリブのモールドがあります。

▼こちらはČKD社(BMM社)が作成した38(t)戦車の部品リストからの抜粋で、左フェンダー先端部の写真です。

 ①は車幅灯取付金具で円錐状のスプリングが取り付けられています。②はキットの赤矢印に当たる部分でリブがありません。
 実はクビンカの車両にも②の位置のリブがなく、タミヤのキットのみが忠実に表現されています。

●車幅灯取付金具 Side light mounting bracket
 この車幅灯はPANZER TRCTSでは"Side light"として表記されていますが、日本の道路運送車両法に定める「道路運送車両の保安基準」に規定された「車幅灯」に当たるので、ここではこの日本語表記を用いています。この灯火はスモールライト又はポジョンランプとも言われ、夜間などで車の幅を対向車や歩行者などに知らせる灯火器で、車の前方両側への取り付けが義務づけられています。
 ドイツ戦車ではⅠ号戦車やⅢ号戦車での装備例が確認でき、チェコ製の35(t)戦車や38(t)戦車ではその車幅灯が昼間は車内に格納され、使用時にフェンダー前部に装着する仕様になっており、38(t)戦車系列ではH型車台(マーダーⅢH型、グリレH型)まで用いられています。その取付金具が部品リストの写真の①に当たりますが、現存車両の多くがこの金具が欠損しています。
▼しかし、クビンカの車両では奇跡的に左フェンダーに残されています。

▼車幅灯取付金具部分は実車ではリブがないので、 タミヤのフェンダーパーツのリブのモールドの一部を削り取りました。(赤矢印)

▲また、後述するバックミラーパーツを取り付ける凸モールドも削り取りました。
▼車幅灯取付金具を再現するためのエッチングパーツが3社から発売されています。

▼どれを用いたらよいか、迷いますので、記録写真で確認しました。

  クビンカの車両と上の記録写真からアベールのエッチングパーツ「Pz.kpfw.38(t)Ausf.E/F/G Vol.1」(35200、以下、「アベールのパーツ」)のパーツ(5,63)が正しいようなので、所定の位置に接着しました。

  なお、このパーツには蝶ネジが付けられるのですが、紛失防止のため、この撮影時では接着していません。

●バックミラー  Rearview mirror
 38(t)戦車には後方確認用に左フェンダー前部にバックミラーが装着され、タミヤのキットにも付属しています。しかし、フェンダー上に大型の雑具箱が取り付けられたことから、後方確認ができなくなり取り外している例が多く見られるので、記録写真で確認します。

▼拡大したことで、バックミラーの取り付けが確認できます。

 左フェンダーが曲がり、ノテックライトが傾いていますが、ノテックライトの傾きと比較すると同じフェンダーにあるはずのバックミラーの向きが不自然に見えます。
▼そこで、もう一枚の写真で確認します。

▼拡大すると、何とバックミラーが左から右フェンダーに移されています。

  前の写真で不自然さを感じた理由がこの写真で解消でき、このような例は他の車両ではないことから2枚の車両が同一車両であると確信できました。
▼作例では写真を参考にしてバックミラーパーツを取り付けました。

 ミラーカバーのヒンジをプラ棒でそれらしく作りました。

 なお、操縦席はドイツ戦車とは異なり、右側に配置されており、こちらの方が見やすいのかもしれません。

●前部反射板 Front reflectors
 これも車幅灯と同様に夜間、車両の存在及び車幅を示すためのもので、これ自体は発光せず、相手のヘッドライトの光に反射します。これは現代の日本の道路運送車両法に定める「道路運送車両の保安基準」に規定され、これが無いと車検が通らない程、重要なパーツです。
 ドイツ戦車には前部反射板は付けられていませんが、38(t)戦車ではフェンダー前後の先端に取り付けられています。しかし、前部反射板は敵に存在を示す可能性が高いため、故意に反射板を取り外している例が多く、G型からは廃止されています。
▼記録写真で確認すると不鮮明ですが、反射板が付けられているように見えます。

▼クビンカの車両の他、現存車両には欠損しているので、別の記録写真でディテールを確認しました。

▲写真はG形の後部反射板ですが、形状が把握でき、参考になります。
 作例では反射板を付けることにしましたが、キットではパーツが省略されているので、アベールのエッチングパーツ(35200)やアドラーズネストの六角ボルトヘッドSSS(ANE-0012)などを利用して自作しました。

▼自作パーツを取り付けました。バックミラーと車幅灯取付金具との位置関係が分かると思います。

ノテックライト Notek blackout light
 ご存知のようにキットのパーツ及び組立説明図に誤りがあるので、注意が必要です。
 詳細はこちら(再生産品ではこの問題が解消されていると思います。)
▼さて、このライトについて各社のパーツで比較してみました。


  タミヤのパーツがあっさりしていると感じたので、タミヤの「ドイツⅣ号戦車車外装備品セット」(35185)のパーツと比較するとほとんど同じものでした。この装備品セットは1995年1月発売なので、この古い設計データが使われていたようです。
 キットのパーツでも良かったのですが、作例では個人的な好みで、38(t)戦車A型を製作した時に使わなかったトライスターのパーツを使用し、省略されている電気コードを0.25ミリ径の銅線で再現し、フェンダーへの留め具はアベールのパーツを利用しました。(続く)

 
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