タミヤの38(t)戦車を考証に基づき作ってみた(その7)

38(t)戦車F型 
Pz.Kpfw. 38(t) Ausf.F

製作(7)  Model making(7) 
■車体左側面の装備品 Equipment of the left side
●雑具箱 Storage box

 第19装甲師団(第27戦車連隊)では独自形状の雑具箱(Gepäck kasten)が左右フェンダー上に装着されており、作例ではキットのパーツの出来が良かったので、そのまま取り付けました。

 雑具箱の上面にはフタが取り付けられ、前後の留め具でフタが固定されています。
 作例では留め具に手を加えていませんが、参考までに写真を掲載します。





▼さて、タミヤのホームページの製品紹介で気になった記述がありました。

 ここでは「現地改修で取り付けられた左右フェンダー上の大型雑具箱」と説明していますが、どのような根拠に基づき「現地改修」として紹介しているのか私には理解できません。
 手持ち資料で雑具箱を備えた車両の数を調べるために、その砲塔番号を数えただけでも40両以上の車体が確認でき、その形状も現地改修による雑具箱とは思えません。それよりも戦車連隊が周到に準備して車体にフイットするように設計し、大量に生産された雑具箱を前戦へ送り出す前に装着したと考えます。(バルバロッサ作戦に参加した第12,第20装甲師団の38(t)戦車も同様)
▼その根拠として示すのが次の写真です。

 鉄道の無蓋貨車に積載された38(t)戦車で、特徴的な雑具箱から第19装甲師団第27戦車連隊所属車両であることが分かり、その砲塔番号は第Ⅱ大隊所属の第4、第5中隊の車両を示しています。
 撮影日はバルバロッサ作戦発動日の10日前である1941年6月12日、撮影場所は第27戦車連隊の拠点であるドイツ国内のパーダーボルン(padderborn)です。
 この写真を見る限りでは、既に雑具箱が装着され、ジェリカン本体は未装備ですが、その特徴的なラックも確認できます。
 確かに工場から納品されたばかりの車両や途中で補充された車両ならば、タミヤが紹介されているように前戦で装着されていても理解できます。みなさんは、どのように判断されますか?

■車体左側面の装備品の考察   Equipment of the left side
 タミヤのキットの車外装備品は、バールとジャッキ、ジャッキ台のみが付属していますが、ハンマーやショベルなど標準装備であるべき工具類が省略されています。これらの工具は大型の雑具箱に収納されているのではと推測されるかもしれませんが、雑具箱には水に濡れては困る食糧や乗員の寝具などの日用品が収納されていると考えるのが妥当ではないでしょうか?誰も泥で汚れた土木工具と一緒にしたくないでしょう。
▼大型の雑具箱の装備により、取り付けができなくなった工具類は別の場所に移設していると考えるのが妥当であり、それを記録写真(以下「前掲の記録写真」)から考察していきます。

①バール Crowbar
②ハンマー Hammer
③ツルハシ Pickax
④ショベル Shovel
⑤ジャッキ台 Jack rest block
⑥ジャッキ Jack

①バール、②ハンマー
 Crowbar, Hammer

 ①バールはキットに付属していますが、前掲の記録写真からその下に②ハンマーが確認でき、ハンマーの上にバールを乗せて2本まとめて前後の2本の革ベルトで固定しているようです。
▼作例ではキットのフェンダーの縁が記録写真Aと比較して狭いと感じたので、プラ板⑦で作り直し(反対側も同様)、バールを取り付けるためのダボ穴をプラ棒⑧で埋めました。

▼次にタミヤのキットで省略されているハンマーはグリレK型の製作時に余っていたサイバーホビー(ドラゴン)のパーツ(K8)を流用し、アベールのエッチングパーツで固定用の革ベルトを再現しました。


③ツルハシ、④ショベル Pickax, Shovel
▼前掲の記録写真から③ツルハシと④ショベルは機関室点検ハッチの上に取り付けられているようなので、別アングルの記録写真で確認します。

▲この記録写真でも③ツルハシと④ショベルの装着が確認でき、革ベルトA,Bで固定されているようです。

▲▼機関室ハッチにどのように革ベルトで固定されているのか調べてみると次の記録写真が見つかりました。

▲この写真はČKD社(BMM社)が車体の破損状況を記録したものですが、革ベルトと金具の詳細が確認できます。
▼この革ベルトA,Bが本来あった場所を次の記録写真で確認します。

▲Aはツルハシとショベルを車体に固定するためのベルトで、Bは牽引ロープを固定するベルトとその金具です。
第19装甲師団では、ベルトとその金具をここから機関室ハッチに移設したようです。
▼さて、思い出してほしいのが、タミヤのキットの車体側面板パーツにあったモールドA,Bです。

 第19装甲師団の所属車両はこれらのベルト付き金具がこれまで検証した結果から、この位置に残っていないことが明らかなので、私は作例時にそのモールドを削り取っていました。
▼さて、作例ではツルハシとショベルのパーツがタミヤのキットでは省略されているので、グリレK型の製作時に余っていたサイバーホビー(ドラゴン)のパーツ(K6,K13)を流用し、アベールのエッチングパーツで固定用の革ベルトを再現しました。


⑤ジャッキ台 Jack rest block
 キットのパーツはマーダーⅢ(35248)と同様に出来が良いので、作例ではそのまま用いましたが、フェンダーへの取付用蝶ネジは、グリレK型の製作時に余っていたサイバーホビー(ドラゴン)の蝶ネジパーツ(B69)を流用して取り付けました。

▼ジャッキ台はキット指定の取付位置ではなく、それより前のフェンダー支持架横に接着しました。


⑥ジャッキ Jack
 第19装甲師団所属車両では機関室上部に取り付けられており、ジャッキ自体はチェコ製のようで、Ⅱ号戦車やⅢ号戦車のドイツ製ジャッキとは形状が異なります。(35(t)戦車のジャッキとも異なります。)
▼参考までに各社のパーツを比較してみました。



▲各社の解釈が異なり、興味深いですね。
 タミヤのキットのパーツは同社のマーダーⅢ(35248)とは異なり、新たに設計されているようですが、他社と比較して長さが約1ミリ短いようです。
 参考までに記録写真を掲載しますので、ディテールアップの参考にしてください。



▼作例では、グリレK型の製作時に余っていたサイバーホビー(ドラゴン)のパーツ(P10〜P13,P17)を流用し、アベールのエッチングパーツで固定用の革ベルトを再現しました。

 次回では右側面の装備品について考察のうえ、再現します。(続く)

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