考察雑記帳  Study

 ドイツ戦車の装備品を考察してみました

消火器(初期型)の考察  Fire extinguisher Early type

 Ⅰ号戦車に装備されているようなマイナーな消火器(初期型。以下「初期型」)のラベルは、デカールが発売されていないため、考証のうえ、ラベルを再現することにしました。
 まずは、当時の記録写真を集めてみました。
▼Ⅰ号戦車A型の消火器(#1)
消火器
消火器
▼Ⅰ号戦車A型の消火器(#2)
消火器
▼Ⅳ号戦車A型の消火器(#3)
消火器
▲いずれのラベルにも丸いマークのようなものが確認できます。
 この消火器の製造メーカーと型式については「PANZER TRACTS No.1-1」にてミニマックス製のテトラK3S (Minimax Tetra K3S)であることが判明しています。
 ドイツのミニマックス有限会社(Minimax GmbH)は総合防災メーカーとして現在も経営を続けている老舗で、消火器も製造しているようです。
 次にこの古い消火器が現存していないかネットで確認することにしました。
▼型式Tetra K2の写真(#4)
消火器
▼型式Tetra K3の写真(#5)
消火器
▲探しているのは「K3S」ですが、残念ながら見つかりませんでした。
 写真のK2(#4)は1925年製造でラベルのマークは黒塗りの円形です。
 しかし、サンプルのK3(#5)は製造時期が不明で、ラベルのマークは四角形であり、サンプルのK2のラベルが記録写真のマークに近いものであると判断しました。
▼この調査を進めているうちに、ミニマックス社の1935年当時のカタログ(#6)を発見しました。
消火器
▲K3が掲載されている頁を抜粋しました。TETRA-LÖSCHER(テトラ消火器)
 カタログによるとKシリーズはAutolöscher(車載消火器)のようで、K1からKbまでの5種類あり、K3Sは無く、"S"はSonderlöscher(特殊消火器)を意味しているものと考えられます。
 カタログにはデータが表示され、K3では  直径11cm、高さ(長さ)54cm、重量(容器のみ)3.3kg、限界重量(消火剤込み)8kg
 このカタログデータや現存消火器からキットのパーツではドラゴンのパーツが最も近いことが確認できました。
 しかし、ラベルはこの色(緑色?)だったのでしょうか?
▼次の写真(#7)は以前、ネットで探し出した個人のコレクター所有品です。
消火器
▲1947年製のK2で、本体は本来の赤色の上にグレーで塗られていたようで、ラベルは黄色です。
▼この黄色いラベルを参考に再現してみました。
消火器
▲作画にはパソコンを用い、作画ソフトはフリーソフトの「Inkscape」を初めて用い、一つ原形を作画してデカール用に複数コピーしました。
▼デカールはインクジエット用の「ミラクルデカール(ホワイト)」を用い、印刷後にクリアーを吹いて防水処理をして貼り付けました。
消火器
▲ラベルは部隊での再塗装時に塗りつぶされることも多いようですが、このラベルがあると精密感が増します。今後、このデカールも当たり前のようにキットのデカールに含まれる日が来るかもしれません。


【出典
権法第32条第1項に基づき、出所を明記して引用しました。
#1."PANZER TRACTS No.1-1"p.1-50
#2."Panzerkampfwagen I" (Tankograd)p.11
#3."PANZER TRACTS No.4"p.4-13 The Tank Museum
#4."Chrisworld" MINIMAX Tetra K2 1925
#5.6."Die Modellbauecke-forum fur Modellbau" 
#7.ホームページ削除のため不明

inserted by FC2 system