自己紹介 About me

連載裏話

  私がモデルグラフィクス誌及びアーマーモデリング誌に連載した「アハトゥンク・パンツァー」について書いてみました。

○執筆前の様子

 「ドイツAFV冬の時代」の中、当時の模型雑誌は新製品が出ないため、フルスクラッチした作例が掲載され、僅かに生き残っていたモデラー達は細々と模型製作を行っていました。
 その中の1人である私は、1981年に名古屋市で開催された「第2回 東海地区AFVの会」(第3回から中京に改称)にてイタラエレイのキットを徹底修正し、バーリンデン風の塗装で仕上げたⅣ号戦車G型を持ち込み、一般の部で金賞を受賞させていただくことができました。そこで、当時ゲストとして出席されていた十川俊一郎氏から評価をいただき、それが模型製作の自信につながり、Ⅳ号戦車の他の型式をひたすら製作することになりました。
 そのような中で、モデルグラフックス誌が創刊され、Ⅲ号戦車のバリエーションを模型で再現する企画が始まり、1986年に土居雅博氏によるⅢ号戦車A型のフルスクラッチ記事が掲載されました。
 その記事に触発されて私が製作していたⅣ号戦車の全作品を撮影し、編集部に送りました。もちろん、製作記事の掲載を依頼する意図は全くなく、読者欄に載せてもらえればのつもりでいました。
 1986年7月下旬、編集部から電話があり、同年8月には作品の搬入が行われました。

○モデルカステンとの連係

 モデルグラフックス誌のオリジナルブランドである「モデルカステン」の製品として1985年に初のインジェクション製連結キャタピラ「パンターキャタピラ」が発売され、当時は恵比寿のミスタークラフトで発売されてました。
 この製品の評価は高まり、その第3弾として「Ⅲ/Ⅳ号戦車中期型用履帯」(K-3)の販売促進用の記事として発売時期に併せて1987年から連載をスタートすることが決まりました。

○記事内容の検討

 当初、編集部では模型製作記事をメインに想定していたようですが、私が製作記事を書く時間はたっぷりあり、実車解説もやってはどうかといアイデアが生まれてきました。
 その頃は「ドイツAFV冬の時代」で、新製品のキットや資料本は発売されず、まだガレージキットメーカーもあまり存在しない状態でした。そのため、その頃のAFVの会に参加していても参加者は出席したメーカーに対してはキットの製品化を求め、出版社には模型製作に必要な写真や情報を掲載してほしいという要望をよく聞いていました。
 第二次世界大戦のドイツ戦車は当時でも多くの書籍が出版されていましたが、模型を製作するための本はなく、解説も文書だけだったので、模型製作には数多くの資料が必要になり、そのリサーチだけでも大変でした。その上、資料の中には入手困難なものや絶版なものが多く、もちろん現代のようなネットによる情報収集環境もありませんでした。

○苦労した作画

 そこで、少しでもお役に立てないかとⅣ号戦車の製作で利用した資料を用いて作画したイラストによる実車解説を考えました。
 模型雑誌ではガンダムなどの模型製作では設定資料のイラストが重宝されており、これならば、文章より誰が見ても理解できると考えたからです。といってもイラストを学んでていた訳でもなく、最初はかなり技術的に苦労しました。
 また、部品の形状を正確に把握するためには多方向から撮影された複数の写真資料が必要で、すり切れるまで手持ち資料を見て作画の参考にし、イラストはその部品の特徴を一番表しているアングルで描き、必要に応じて別方向のイラストを加えました。
 さらに、実車での部品形状の変化については、改修前と後のイラストを並べて一見して分かるように工夫しました。
 これらは高荷義之画伯の影響であることは言うまでもありません。画伯は「メカのひとつの部品を描く場合、その部品がどういうもので、何の役目をし、何故そこにあるのかが判って描くのと判らずに描くとでは天地の開きがある。」と述べられています。模型を製作でもそれは言えると思い、私の記事の中でも共通な思いがあったと感じています。

○連載の功罪

 このような中で「アハトゥンク・パンツァー」の連載はスタートし、模型製作に役立つイラスト(資料)が他に例はなかったこともあり、多くの読者の支持を得ることができ、長く連載することができました。
 また、イラストに簡単な英文の解説を加えたことで、書籍は海外でもある程度の評価をしていただくことができました。
 さらに模型メーカーにも影響を与えたようで、キットの部品(特に車外装備品)の精度が向上し、世界各地から多くのディテールアップパーツが発売されるようになりました。
 しかし、模型製作において考証面が重視される風潮が生まれてしまったことは事実であり、敷居が高くなってしまったのが残念でなりません。




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