Ⅰ号戦車B型
Pz.Kpfw.I  Ausf.B

車  台   Chassis
○車台パーツの比較

 車台パーツは車台(シャーシ)とフェンダーが一体となっており、イタレリも同様な構成です。
 そこで、ドラゴンとイタレリのパーツを比較してみました。何とドラゴンのフェンダーは約2mm(滑り止めの縞鋼板部分は約4mm)短く(写真15)、車台底板の長さも約2mm短いことが分かりました(写真16)。このパーツは自走砲(6230)以降、パーツIからパーツXに変更されましたが、少し彫りが深くなった以外、寸法は変わっていないようです。
車台比較
車台比較2
 寸法確認のため、PANZER TRACTS №1-1(以下「PT」)の四面図を確認してみました(写真17)。
車台比較3
 なお、図面の縮尺が24分の1なので、約68%縮小したところ、フェンダーの長さはイタレリのパーツとピッタリ合います。参考までに他の図面と比較しても同じ結果でした。
 もう一つ気になったのは、車台前部装甲板のパーツです。これも同様に比較してみました(写真18)。
全部比較
 なお、トライスターのキットはB型ではなく、A型ですが、このパーツ寸法は実車でも同じはずです。このパーツ比較ではトライスター、イタレリ、ドラゴンの順で高さ寸法が大きくなっており、イタレリとドラゴンのパーツは約1mmの差でした。PTとの図面比較でもイタレリがほぼピッタリ。この他、車台底部からフェンダーまでの高さもドラゴンでは約1mm大きい結果となりました。
 PTの発行は2002年で、ドラゴンの最初のキットの発売が2004年なので、ドラゴンで実車取材時に計測していたとしても、確認できたはずです。なぜ、このような重要なパーツが改修されずに今日まで使用された理由として考えられるのは、このパーツが高価なスライド金型を使用しているからでしょう。
 なお、ドラゴンのキットのこの寸法差は前後のマッドフラップの形状で帳尻を合わせ、前部マッドフラップの先端から後部マッドフラップの後端までの長さである全長はPTの図面と同じにしています。
 最近のキットはどれも寸法的には問題ないはずですが、この比較結果には驚かされました。私自身も小さなパーツは除き、1mm程度であれば、許容範囲にしてますが、この事実を知った以上、修正する必要があります。また、この寸法問題は車台ばかりでなく、戦闘室などの上部構造物や砲塔の寸法にも影響を与えており、後々、私を苦しめることになりました。
○フェンダー
 フェンダーの再現については製作済みのA型から利用している アベールのエッチングパーツ(35A63)を使用して、これまでの作品との統一感を出すことにしました。
フェンダー
 このパーツはイタレリ/ズベズタ用で、取り付けると軽戦車のフェンダーのぺらぺら感が出ますが、アベールにはドラゴン用のパーツ(35067)もあるので、購入するには注意が必要です。
 エッチングパーツの折り曲げには、愛用のシェブロンH&F(写真19)を利用し、
フェンダー1
各パーツの接合はアドラーズネストの六角ボルトヘッドSSSを使用し、半田付けしました(写真20, 21)。
フェンダー2
フェンダー3
○車台パーツの修正  
 車台パーツは製作した9台のうち、4.7cm自走砲2台はイタレリのパーツを利用し、残り7台はドラゴンのパーツを利用しました。車台パーツと一体化しているフェンダーの切り離しはノコ、モーターツール、ヒートペンと試しましたが、超音波小型カッターが一番簡単に切り離すことができました(写真22)。なお、超音波小型カッターは切断面が少し溶けるので注意が必要です。
車台
 ドラゴンのパーツでは車台を延長する必要があったので車体後部で切断し、エバーグリーンのプラ材(1.5×2.0mm)を挟んで接着しました(写真23)。
車台2
 そして、エッチング製のフェンダーとプラ製の車台との接合は金属用接着剤の他にアドラーズネストの六角ボルトヘッドSSSを釘代わりに利用して、接合面を補強しました(写真24)。
車台
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