II号戦車 A,B型
Pz.Kpfw.II Ausf.A, B
製作(5)  Model making(5)

車体上部の製作(1) Superstructure(1)
 今回はタミヤのC型キット(35299)をA型に改造するポイントと組立中の注意点を紹介します。
フェンダー  Track guard
 滑り止めの菱目パターンは目が粗いので、ボイジャーのエッチングパーツ「Ⅱ号戦車A/B/C型フェンダー」(PE35281)の滑り止め部分のみを利用し、タミヤのフェンダーパーツ上面の滑り止め部分を削ってから接着しました。

車体前部  Hull front
 タミヤの車体上部パーツ(B1)はいくつかヒケが見られるので凹んだ部分をパテ埋めして平らにしました。


 戦闘室前部の装甲板(B2,B5,B14)を車体上部パーツ(B1)に取り付けると隙間ができます。また、パーツ自体が約1ミリで実車換算すると約35ミリになりますが、実車では14.5ミリで合わせ目が見えない程薄いのでパテ埋めしました。

●操縦手用ハッチ Driver's hatch cover
 当時の図面と比較してヒンジ形状が異なります。

 これはフランスの実車が失われていたヒンジを誤った解釈で復元したのが原因で、タミヤのキットはその誤りを修正しないで再現したことから起きたものと解釈できます。
 前回の増加試作c型の製作においてはトライスターのⅠ号戦車のヒンジを流用しましたが、今回はドラゴンのⅡ号戦車のヒンジ(不用パーツ)を流用しました。

 また、ハッチ周囲の尖塔ボルトが省略されていたので、マスタークラブの0.5mm尖頭ボルト(MC435091)と0.6mm尖頭ボルト(MC435092)を孔を開けて埋め込みました。
●操縦手用前方視察クラッペ Driver's  visor
 実車ではA型からクラッペの形状が変更されて防御力が向上しています。

 タミヤのキットでは増加試作型のクラッペのパーツも含まれているので、増加試作型に改造するのに便利です。
 作例ではクラッペのヒンジの尖頭ボルトをマスタークラブの0.6mm尖頭ボルト(MC435092)に置き換えました。

●砲塔用跳弾板  Turret ring guard
 実車ではA型生産途中から砲塔基部を防御するための跳弾板(E11,E15)が取り付けられました。
 作例ではB型との差別化を図るため、A型初期仕様としたので跳弾板を取り付けませんでした。
●クラッペ Vision ports
 実車ではB型生産途中からクラッペの防弾ガラスが50mm厚に強化されて外観形状が変更され、前方に跳弾板が取り付けられました。

 タミヤのキットではこれ以前のパーツ(A20)が含まれているので、作例ではそれを利用しました。
 なお、クラッペに付く尖頭ボルトはマスタークラブの0.5mm尖頭ボルト(MC435091)に置き換えました。

機関室上面  Engine deck
●機関室点検ハッチのヒンジ  Hinges
 タミヤとドラゴンのパーツ比較でも分かるようにヒンジの向きが逆です。

 これはタミヤのキットがフランスの現存車両(増加試作型のc型)を取材しているのに対し、ドラゴンのキットはF型キットのパーツを利用しているからです。
 これについては増加試作c型の製作記事でも取り上げ、タミヤのキットは増加試作型、ドラゴンのキットは量産型の特徴ではないかと仮説を立てましたので、今回はもう少し検証してみました。
 なお、ここでは説明しやすいようにタミヤ型とドラゴン型と表記して説明を進めます。
▼まず、下の写真は増加試作b型のマニュアル(D651/9)から

▲ヒンジの向きはタミヤ型です。
▼次にロシアの現存車両、増加試作c型

▲残っているヒンジは後部のみですが、向きはタミヤ型です。
▼下の図面は量産型A型のマニュアル(D651/1)から

▲ヒンジの向きはドラゴン型です。
▼こちらは戦場写真のA型(車台番号23145/MAN製)※A型生産開始は23001から

▲これもヒンジの向きはドラゴン型です。
 これまでのサンプルから私の仮説は正しいみたいですが、例外もあります。
▼セルビアの現存車両のA型

▲前部ヒンジ2個はドラゴン型、後部ヒンジ2個はタミヤ型
▼カナダの現存車両のC型

▲前部ヒンジ2個はドラゴン型、後部ヒンジはタミヤ型とドラゴン型
 現存車両については手が加えられた可能性があるため、信憑性は低いと思います。
▼最後に戦場写真の量産型A型(跳弾板付き)

▲ヒンジの向きはタミヤ型です。
 以上から、量産型のA型でもタミヤ型があるということがわかってきました。
▼そこで作例のA型ではタミヤのヒンジパーツはそのまま用いることにしました。

▲なお、ヒンジの取付ボルトはマスタークラブの0.6mm尖頭ボルト(MC435092)に置き換えました。
●暖気排気口 Warm air outlet
 タミヤのパーツのままでもよかったのですが、ボイジャーモデルのエッチングパーツをハンダ付けにて組み立てて置き換えました。

●無線手用ハッチ  Radio operator's hatch
 実車では増加試作c型までは2分割式でしたが、1枚板に替わり、通気用グリルもシンプルな構造になりました。
 作例ではキットのグリル部分を薄く斜めに削り、内側に取り付けられたヒンジ用皿ネジのモールドが省略されているので、パッションモデルズの「0.6ミリ径マイナスネジ頭セット」(P35-001、絶版・店頭在庫のみ)を埋め込んで再現しました。
 なお、他に鍵穴が省略され、ボイジャーモデルのエッチングパーツにそのパーツがありますが、破損・紛失の恐れがあるので、機関室ハッチの鍵穴とともに、この時点では取り付けていません。


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