ドイツ戦車の装備品を考察してみました
まずは、その装着例を当時の記録写真で確認してください。
▼35(t)戦車(#1)
▼38(t)戦車(指揮戦車)(#2)
▼Ⅳ号戦車A型(#3)
▼キューベルワーゲンTyp82(#4)
ご覧のとおり、標準型とは異なる見慣れないアンティークな形状の尾灯が装着されていることが確認できます。この尾灯は大戦無初期(1940年頃まで?)の一部車両に見られるもので、35(t)戦車と38(t)戦車について調べる機会があったので、そのディテールが分かる写真を捜していました。そこでネットで偶然見つけたのが次の写真です。
▼初期型尾灯の実物(#5)
▼初期型尾灯の実物(#6)
いずれも現存している初期型で点灯していないため判断は困難ですが、この写真からは上下ともに赤色に見え、標準型とは異なり制動灯の機能は無いものと推測されます。
また、中央のマークから製造元は、車間表示灯(初期型)を開発したノーファ・テヒニック有限会社(Nova-Technik GmbH)と判断できます。
この初期型は、35(t)戦車においてはドイツ軍仕様に改修された際に最初に装備されたと思われ、多くの装備例が確認できます。
もし、35(t)戦車や38(t)戦車A型などの新設計の模型や尾灯のディテールアップパーツが発売されるのであれば、個人的には是非ともこの初期型を加えていただきたいと思って紹介させていただきました。(2013.6.7掲載)
○故尾崎 正登氏との思い出
彼との付き合いはほとんどありませんでしたが、唯一思い出されるのが「尾灯」のことでした。彼との雑談の中で「尾灯をうまく再現しているパーツが無いんだよね。これは本物の尾灯について今までしっかりとモデラーやメーカーに伝えていないことが原因だと思うんだ。」と話をしたことがありました。
2007年3月24日、別件で彼のデスク(アートボックス・アーマーモデリング編集部)に立ち寄った時に「尾灯の写真を海外でいっぱい撮ってきたので見てよ。」と彼は自分のパソコンの画面を見せてくれました。
私は「これは本物、これは類似品。オイこの尾灯は初期型だよ。よくこれだけの写真を撮れたね。いつか、この写真を使ってモデラーに尾灯を紹介したいね。」と話し、盛り上がったことを覚えています。
しかし、同年7月19日、彼は帰らぬ人となってしまいました。2人だけの「尾灯の企画」は自動的に消滅し、写真データは今では行方不明となってしまいました。 密かに暖めていた「尾灯の企画」はこのような形でみなさんに紹介することができました。尾崎さんの写真データは使えなかったけど、きっと彼は天国で喜んでくれていると思っています。
【出典】
著作権法第32条第1項に基づき、出所を明記して引用しました。
#1."Der Panzerkampfwagen 35(t)"(TOM Modellbau,2001)p.58
#2.グランドパワー99年9月号「ドイツ38(t)軽戦車」p.60
#3.グランドパワー03年5月号「Ⅳ号戦車A~D型」p.26
#4."VW-Kübelwagen und VW-Schwimmwagen"(Waffen Arsenal,1987)p.15
#5.World war wheels wehrmacht "Notek"
#6.fahrzeuge-der-Wehrmacht"Tarnbeleuchtung"