考察雑記帳  Study

1930年代の尾灯の考察  Toyota Automoubile Museum

トヨタ博物館(愛知県)の展示車両から尾灯を考察しました。
▼トヨダ・AA型乗用車。
トヨタ
トヨタ自動車の前進である豊田自動織機製作所が1936年に生産した車両で、この車両は復元車です。ちなみに同車の現存車両は接収されたものがロシアに残され、現在はオランダの博物館に展示されています。

▼私が注目したのがこの尾灯で、ドイツ車両の尾灯によく似ています。
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この向きで装着されているのは、ナンバープレートを照らす番号灯が上に向けているためです。現在の「道路運送車両の保安基準」では尾灯(テールライト)及び制動灯(ブレーキライト又はストップライト)は赤色、方向指示器(ウインカー)は橙色と規定されていますが、博物館の職員の話では1930年代当時はドイツ製尾灯と同じく赤色は尾灯で、橙色は制動灯との事でした。ちなみに方向指示器はこの当時は腕木式で、点滅するウィンカーの標準装着は戦後になってからで、この橙色のウィンカーの登場により制動灯は橙色から赤色に改められたようです。

▼次にご紹介するのが、1934年から1936年までに生産されたメルセデス・ベンツ500Kで、これも同博物館の展示車両です。
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▼同車の後部。ここでも注目したのは尾灯です。
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ナンバープレートを挟んで両側に取り付けられていますが、横向きに取り付けられているのはナンバープレートを番号灯により照らすためです。
 戦車博物館での戦車の尾灯は紛失されたままで復元されていないのが大半ですが、自動車博物館では大抵装備されており、このように日本でも当時の尾灯が見られます。
▼形状は戦前・戦中の記録写真に見られるものと同じで、以前から寸法が気になっていたので実測したところ、直径は90mmでした(1/35スケールでは2.57mm)。
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しかし、番号灯は白色ですが、尾灯と制動灯は共に赤色の樹脂製ライトカバーなので、このパーツのみレプリカかもしれません。※ご存知の方は情報提供してください。
▼尾灯の奥行は約50mm(1/35スケールでは1.43mm)で、電源コード④は円の中心より写真では左にずれており、2本のボルトで車体に固定されていました。
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 1/35スケールの尾灯パーツは寸法が同一メーカーでもバラバラで、形状も私にとって満足のいくものがないのが残念で、いつも自作しています。
▼1938年に44台生産されたフォルクスワーゲン38最終生産型プロトタイプです。
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これはレプリカで本物はドイツのフォルクスワーゲン財団が所有していますが、いわゆる「ビートル」のご先祖様です。
▼この車両は2003年まで2,152万台が生産されており、後の生産車と大きく異なる部分が後部形状です。
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尾灯は車体デザインに合わせて小さいものが装備されていました。
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▼イタリアの初代フィアット500
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1936年から1955年まで生産され「トッポリーノ(ハツカネズミ)」の愛称で呼ばれ、2013年にはブロンコモデルから1/35で発売されたのでご存じの方も多いと思います。
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なお、アニメのルパン3世の愛車は1957年から生産された2代目「チンクェチェント」です。
▼この車両の尾灯も見慣れないもので、ブロンコのキットと異なります。この尾灯についてご存知の方はご教示ください。
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▼この車両は1937年製のシトロエン11Bで、タミヤのキットは兄弟分の11CVです。
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▼最後は博物館展示車両の中でも軍用車両らしいジープ
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こちらは1943年製のフォードGPWですが、同博物館にはウィリスジープMB(Model B)も展示されています。フォード車の方はマニアによれば、かなり純正パーツが使用されたレストア車とのことです。

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