考察雑記帳  Study

 ドイツ戦車の2色迷彩を考察してみました

2色迷彩の考察  Color photo

▼今回紹介する写真はコレです。

 この写真は既にmissing-lynxにて掲載(#1)されているので、ご存知の方も多いと思います。これは世界的に有名な滝口コレクション(#2)の1枚で、滝口彰氏に許可を得て掲載させていただきました。
 私は大戦初期の車両が好きで、これまで製作し拙HPで紹介している車両の多くがグレー(RAL7021ドゥンケルグラウ)単色又はブラウン(RAL8010)との2色迷彩です。モノクロ写真ではその色別がたいへん分かりずらく、2色が明瞭に分かる写真はなかなか巡り会えませんが、滝口さんがすばらしい写真を見つけてくれました。
 この写真の車両はⅠ号戦車B型車台を用い、1936年から1937年までの間に生産された小型指揮戦車で、戦闘室側面下部の増加装甲板が無いことから車体は1937年4月から軍に納品された第3生産シリーズと思われ、後付けのキューポラが装備されていることから、撮影は1938年以降と考えられます。塗装面で判断すれば、2色迷彩が施されたのが1937年7月から1940年7月までであることから車体の特徴時期と重なり、国籍マークであるバルケンクロイツ(鉄十字)が描かれていないことから1939年7月以前と考えられ、かなり撮影時期が絞られてきます。  第1、第3、第5転輪はブラウンに、消火器はどう見ても赤色ではなくグレーで塗装されており、ショベルの柄もグレー、ジャッキ台は2色迷彩に塗られているように見えます。原則として車外装備品は車体塗装後に取り付けられるので車体色ではありませんが、部隊での再塗装においては車外装備品を取り付けたまま塗装されることもあったようです。
 この他にも、樹木の葉や周囲の服装から撮影時期は春頃ではないかとか、車長の戦車搭乗服に1935年11月から指定された国章がわずかに見えるとか、肩章やベルトは正装用なので目立つとか、灯火管制用ライトカバーが前照灯なとに装着されていないため緊張感が感じられないとか、履帯が錆びていないようだとか、背景の赤縁三角形の標識は現代の警戒標識と同じようだとか、このカラー写真はいろいろな情報を提供してくれます。
 なお、この写真は一部分であり、写真全体を見られたい人は「カラーリングマニュアル」(イカロス出版 2013年)に掲載されているので、ぜひ一度ご覧ください。
#1.missing-lynx,Discussion Groups 
#2.滝口コレクションが見られる滝口彰氏のホームページ   Wehrmacht in World WarII 

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